「誰先愛上他的」は2018年に公開された台湾映画。夫の死をきっかけに、遺された妻と息子、そして同性愛者だった夫のパートナーである男性の間で繰り広げられる人間模様を描いた作品です。タイトルの意味は「誰が先に彼を愛したの?」。
第55回金馬奨では、中国映画が数多くノミネートされる中で、8部門にノミネートされ、主演女優賞、映画オリジナル楽曲賞、編集賞を獲得。台湾映画として大きく健闘し高評価を得ました。ヒステリー気味の母親を演じ主演女優賞を獲得した謝盈萱の演技は圧巻。夫を奪われ亡くした女性の不安定な感情を見事に表現していました。そして、映画全体を通して流れる主題歌の「峇里島」が、なんとも言えないノスタルジックな雰囲気を与えます。これもまた名曲!映画が終わる頃には思わず「峇~里島~」と口ずさんでしまうように…ロイ・チウも主演男優賞にノミネートされていましたが、惜しくも受賞には至らず…映画クライマックスの涙が非常に印象的でした。
浮気相手を「小三」というのですが、それに”棒”があるから同性愛の愛人は「小王」というんですよね。それにしてもロイ・チウが非常に良かったですね!だらしなくてどうしようもない男に見えるのだけど、本当はとても優しくて愛に溢れた裕傑の人物像が伝わってきます。
同性愛と家族愛がテーマの本作、性描写とかはないので、とても見やすい内容となっています。ネットフリックスで日本語字幕付が配信されていますので、是非鑑賞してみてください。
目次
基本情報
タイトル:誰先愛上他的(先に愛した人)
英題:Dear Ex
監督:徐誉庭、許智彥
出演:邱澤、謝盈萱、陳如山、黄聖球
公開日:2018年11月2日台湾公開
主な登場人物
高裕傑:邱澤
舞台俳優をしている若者。宋正遠の同性愛パートナーで、彼の保険金の受取人になっていた。
劉三蓮:謝盈萱
良妻賢母として家庭に尽くしてきた宋正遠の妻。ヒステリー気味。
宋呈希:黄聖球
宋正遠と劉三蓮の間の子供。反抗期。
宋正遠:陳如山
劉三蓮の夫だが、同性愛者だった。
あらすじ
癌で死んだ父親の保険金の受取人は、父の愛人の男だった。夫の宋正遠を亡くしたヒステリー気味の妻・劉三蓮は、息子の宋呈希を連れ、保険金の受取人となっていた夫の愛人の高裕傑の家に押しかける。裕傑は自分を夫だと言い張り、「あなた、早く電話に出て」という夫の声の着信音を聞かせる。三蓮は、逆に夫の愛人(小三)となり果ててしまったのだ。反抗期の呈希は、母のヒステリーに疲れ、売れない舞台役者をしている裕傑の家に居座るようになる。
結末ネタバレ
三蓮は、裕傑の母に家から出てきたところを見られ、恋人未満の関係と誤解されてしまう。夫に尽くしてきたのに、男に夫を奪われ、保険金も手に入らないで鬱憤がたまった三蓮は、裕傑の母に息子は同性愛者だと暴露してしまう。
三蓮は、呈希を通わせているカウンセリングに姿を現し、自身の感情をぶちまける。
そんな中、正遠の肝臓移植手術のために闇金から借金をしていた裕傑は手ひどい取り立てに遭い、舞台初日に骨折させられてしまう。それでも、車いすで懸命に演じる裕傑。彼はこの舞台で愛する正遠と別れを告げようとしていたのだった。舞台の終演後、花束をもって現れたのは裕傑の母だった。
しばらくして呈希はカウンセリングの通院をやめた。呈希と三蓮の関係も改善し、呈希は裕傑と会わなくなった。結局保険金は裕傑が受け取り、三蓮はたまに裕傑の世話を焼いているようだった。