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香港発の2020年高評価ドラマ「歎息橋」【あらすじ】【ネタバレ】

作品紹介

2020年3月末から動画配信サービス優酷Youkuで配信が始まった香港ドラマ「歎息橋」。中国のコミュニティサイト豆瓣での評価は8.9とかなりの高評価を得ています。

6人の男女の人間関係が織りなすストーリーが淡々とした映像で描かれています。このドラマの面白さは何といっても、各話ごとに変わる”視点”。各話、一人の登場人物の視点からストーリーが描かれるため、同じ出来事でも全く違う見え方、感情が描き出されていきます。ある人物の視点では分からなかったことが、別の人物の視点で分かり、登場人物たちの人間関係のもつれや修復されていく様子が視聴者に明かされていきます。人物によって記憶や物事の受け止め方が違うため、その人物の主観の中で物事が美化されていたり、被害妄想的に歪められていたり、その感じ方の違いが衝突につながったり、実は何が客観的な真実なのかはわかりません。その視点による違い=個々の主観を絶妙に描き出しているのが、このドラマ。(その話がどの人物の視点かは、オープニング曲のあとに画面いっぱいに表示される人名で分かります。)

具体的なシーンでいうと、あるカップルが友人の誕生日パーティーで出逢う場面があります。男性の視点では、男性からではなく女性から連絡先を聞いています。一方女性の視点では、友人が連絡先を交換させたことになっています。

このような、同じ出来事でも人物によって描かれ方が違うというシーンが数多くあり、その違いが登場人物たちの人間関係に問題や衝突を生み出していきます。そして、主人公たちが若い頃から徐々に動き出していた物語が現代につながり、素直になれない大人たちの恋愛模様が淡々と紡ぎだされていきます。

映像も映画のような撮影方法になっていて、なんだかおしゃれな雰囲気が漂うドラマに仕上がっています。ドラマの出発点でもあるベルギーの風景も美しい。全15話と短めですので要チェックです。

基本情報

タイトル:歎息橋
英題:The Gutter
出演者:林保怡、周家怡、衛詩雅、伍咏薇、陳奐仁、秦沛など
話数:15集
中国公開日:2020年3月28日
香港公開日:2020年5月11日

あらすじ

Thomasは貧しい家庭の出身。若い頃は、病気の母親の治療を稼ぐために必死で働いていた。仕事先の飲食店でアルバイトの少女Sammyと知り合い友人になる。飲食店の社長は、Thomasをベルギーに行かせ、ブランド時計の密輸をさせるようになる。ところが、香港に帰る直前、Thomasは密輸品を横領しようとしたことがバレて帰国できず、そのままベルギーに20年滞在し続けることになってしまったのだった。
4年前、香港に戻ってきたThomasは、Sammyと一緒にレストランを開業。そして、ベルギーで出逢った飲食店の社長の娘Joyceと再会し、2人は急接近する。しかし、JoyceにはKenという長年交際している恋人がいることに気づく。さらに、Kenには若い頃に勤めていた会社の上司で人妻のCatherineとの間に息子Kevinがいたことが発覚する。

各話リスト

話数話タイトル視点
1話懷疑THOMAS
2話妥協KEN
3話迷茫JOYCE
4話情義SAMMY
5話失常CATHERINE
6話正常KEVIN
7話責任KEN
8話轉移JOYCE
9話冷漠THOMAS
10話自私SAMMY
11話逃避KEVIN
12話取代KEN
13話自由JOYCE
14話勇氣THOMAS
15話承諾SAMMY

登場人物

※注意:ネタバレを含む人物紹介です。

Thomas:李子勇(林保怡)

レストランMASSAMの経営者。若い頃、病気の母親の治療費を稼ぐため、茶餐廳の社長の命でベルギーで密輸時計の販売をしていた。その際にJoyceと出逢っていた。その後、香港に戻った後Joyceと再会し、逢瀬を重ねるようになる。しかし、順調な交際だと思っていたところ、Joyceには別の交際相手がいることに気付き、彼女のもとを去る。一方、Sammyとはつかず離れずの曖昧な関係を続けている。若い頃、母親は病気で亡くなり大金を稼ぐ必要はなくなったが、茶餐廳のバイトの少女Sammyの借金を代わりに返すため、ベルギーで密輸品を横領しようとする。横領がバレたThomasは香港に戻れなくなり、誕生日を祝うというSammyとの約束を守れなくなる。Sammyとの電話では、ベルギーは稼ぎもいいし女もいいと嘘をついて香港に戻れないことをごまかしていた。ショックを受けたSammyは別の男性との交際を始め、その報告を電話で聞いたThomasは香港に戻る意味をなくしてしまったのだった。銘南のために上海に行くことを決めたSammyを止めず、最後荷物を取りに来た彼女に、ベルギーから戻らなかった理由を告げたが、すでに何もかもが遅かった。

若かりし頃のThomas(陳健朗)

Joyce:何楽児(衛詩雅)

ThomasとSammyが若い頃働いていた茶餐廳の社長・何永昌の娘。友人の誕生日パーティーでKenと出逢い、8年交際している。若い頃に旅行したベルギーでThomasと出逢っており、香港で再会したことをきっかけにKenと別れてThomasに乗り換えようとする。しかし、父親の病気をきっかけにKenと寄りを戻す。病気で先が長くないことが分かった父親のためにKenとの結婚を焦るようになる。父親が経営していた焼酎バーをKenと経営するようになるが、友人に唆されて水たばこを始めようとしたり、勝手にCatherineを雇い入れたり、ボヤ騒ぎがあったことを黙っていたり、どうしようもないKenの姿に呆れる。ウェディングドレスの試着にも現れなかったKenに不満を募らせる。その際、Kenの息子だというKevinと出逢う。Kenとの結婚に消極的になるも、「Joyceが自分の母親に似てきて怖かったが、それは自分を愛しているからだと分かった」というKenの本音に感動し、Joyceは笑顔で結婚式を迎える。そして、JoyceはThomasとレストランと共同経営することを決める。Kenに父親の世話を任せて、Thomasと銀行の手続きに向かおうとした際、妊娠していることが分かる。子供は欲しくないと思っていたJoyceだったが、いざ妊娠が分かると喜びを感じ、真っ先にKenに連絡を取ろうとするが、Kenにも父親にも電話がつながらない。急いで家に帰ったJoyceが見たのは…。

若かりし頃のJoyce(楊偲泳)

Ken:胡啟源(陳奐仁)

見かけは普通の人物だが、内向的で優柔不断な性格。厳しい母親に抑圧され育てられたことが彼の性格に影響しており、母親の言うことには逆らえず、意見もできない。母から逃げるためにJoyceのもとに転がり込む形で同棲を始める。若い頃に勤めていた会社の上司Catherineと一夜の関係を持ったことがある。その後、母親に公務員になるように命じられ、その会社を去る。Joyceの父親が入院している病院で偶然Catherineと再会し、Catherineと接近する。焼酎バーの経営などを押し付けてくるJoyceに疲れ、Catherineと自身の息子だというKevinとの生活を夢見るようになる。ウェディングドレスの試着に行かず、Joyceとの結婚に消極的になる。しかし、アメリカからCatherineの夫が帰国したことにより、居場所がなくなり結局Joyceのもとに戻る。そのままJoyceとの結婚式を迎えるが、気分はあまり良くない。式の後、どちらの家族を先に送るかで揉めてしまう。体が悪いJoyceの父親の面倒を見るため、義父の家に住むようになる。しかし、義父は、母親の指図ばかり聞くKenをよく思っておらず、Kenが大事にしていた模型や玩具を捨ててしまう。それを見たKenは義父の部屋に行き…。

Sammy:方小微(周家怡)

Thomasのレストランのシェフとして働く女性。Thomasとは、若い頃バイトしていた茶餐廳で知り合い仲良くなった。若い頃は借金を抱えており、バイト先まで押しかけてきた取り立てをThomasが金を払うことで追い返した。その頃の寂しさや不安から恋愛では相手に依存する傾向がある。Thomasがベルギーに行っている間も電話で連絡を取り合い、彼の帰りを待っていた。Sammyの誕生日には戻ってきて一緒にお祝いをするという約束を楽しみにしていたが、Thomasは帰国できなくなってしまう。帰国できない本当の理由をThomasはSammyに告げなかったので、Sammyは絶望し涙を流した。そしてその後Elvisという男性と長く交際することになる。しかし、ElvisはSammyに金を借りっぱなしの上、浮気もしており、2人は破局する。住む場所をなくしたSammyはThomasの家を訪ね、2人の曖昧な同棲が始まった。SammyはThomasの父親と甥の世話も焼き、いつか4人で海外旅行に行くという約束をしていた。ある時から同級生の黎銘南と交際するようになり、銘南に紹介された上海のレストラン経営者に誘われ、上海に行くことを決める。上海行きを機にThomasとの曖昧な同棲関係を解消する。最後の荷物を取りに行った際、Thomasがベルギーから帰らなかった本当の理由を知るが、もうすでに遅かったのだった。旅行には行かないつもりだったが、銘南に背中を押され、旅行当日空港に現れる。

若かりし頃のSammy(談善言)

Catherine:梁淑媛(伍咏薇)

Kenが若い頃勤めていた会社の上司。部下の誕生日にはレストランで食事をご馳走していたが、それを自分だけへの特別な対応だとKenは勘違いしていた。Kenの誕生日ディナーの後、一夜かぎりの関係を持ってしまう。研究者と結婚したが、夫の研究が香港ではできなくなってしまう。研究チームはアメリカに行くことになるが、Catherineの妊娠が発覚したため、研究を諦めざるを得なかった。病院で偶然Kenと再会する。Catherineが会社で疎まれ、解雇されたことを知ったKenは、Joyceの父親の焼酎バーにCatherineを雇い入れることを勝手に決めるが、Joyceに反対されCatherineは解雇される。自分の身の回りに起こる不運はすべて息子のKevinのせいだと思っている。被害妄想かなり強め。

Kevin:鐘家俊(岑珈其)

Catherineの息子。Catherineが一夜限りの関係を持ったKenとの息子らしい。ThomasのレストランにKenを探しに来て、そのままアルバイトとして働くことになる。母親が精神的におかしく、すべてを自分のせいにしていることを理解している。自分たちを置いてアメリカに行ってしまった父親のことを嫌っていたが、帰国した父親と再度コミュニケーションを取ることで、父親を理解した。

人物相関図
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