東方衛視で放送され、主演俳優らの人気も相まってヒットとなったドラマ「老九門」。ネットドラマの第一人者とも言われるプロデューサー白一驄のインタビューの日本語訳。
「老九門」制作：張芸興、趙麗穎いずれも陳偉霆が推薦
原文：《老九门》制片：张艺兴赵丽颖都是陈伟霆力荐(凤凰娱乐)
SP、スペシャルパート、意味は特典である、日本ドラマやアニメでは本編の放送後、市場の反応を元に、2時間ほどの特別編が放送されることがある。一般的には毎クールのつなぎの閑散期に放送される。多くのスペシャルは人気ドラマの番外編や、前日譚やアフターストーリーである。
例えば福山雅治、柴崎コウ主演の日本ドラマ「ガリレオ」は、TV版第1シーズンが2007年10月15日から毎週月曜夜9時からフジテレビにて放送された。第1シーズン放送終了後、フジテレビは2008年10月4日に特別編スペシャルとして「ガリレオΦ」を放送した。出演者はドラマ版と変わらず、描かれたのは連続ドラマから3年前、主人公・湯川が初めて警察への捜査協力をし超自然現象事件を解決するストーリーであった。同日、「ガリレオ」の劇場版「容疑者Xの献身」が日本で上映された。こちらもドラマ「ガリレオ」と同じ出演者が主演を務めた。
2013年春になると「ガリレオ」のTVシリーズ第2弾が放送されたが、ヒロインは柴崎コウから 吉高由里子へと変更になった。一部のドラマファンはこの変更に不満を抱いた。そのため、TVシリーズ第2弾全11話完結後に特別編スペシャルの「内海薫最後の事件」が放送された。時間軸は第2シーズンが始まる前で、前ヒロインの内海薫が再び登場し、 内海薫が離脱する原因を描く事で視聴者への埋め合わせとした。
スペシャルはテレビドラマの一部で、スペシャルを制作する事は日本ドラマの慣例であり、テレビシリーズの影響力を示すものでもある。中国テレビドラマ業界では、スペシャルや「劇場版」という形式は未だ開拓されておらず、現在のIPの風潮の下、制作側は往々にして映画とドラマを分けて開発している。両者には一切の関連性もなく、脚本が2つあるが故に出演者すらも分かれており、真の連動は果たせずにいる。
先日、 南派三叔原作のテレビドラマ「老九門」番外編の撮影が始まった。張芸興演じる二月紅を代表とする4つの役それぞれの、映画に相当する時間の個人番外編が放送される。「ネットドラマ第一人者」と称される白一驄も「老九門」番外編のプロデューサーを担当しており、番外編の撮影現場で、iqiyi副総裁の楊向華と共に鳳凰娯楽の独占インタビューに応じた。
白一驄は、「老九門」番外編は日本ドラマのスペシャル形式を参考にしていると明かした。昨年白一驄は「花千骨」の番外編を発表した。大規模なプロモーションが行われなかったにも関わらず、比較的好調な視聴回数を獲得し、 白一驄はスペシャル形式の開発に更なる期待を抱いた。今回の「老九門」番外編は映画の形態に近いが、 白一驄は視聴回数が比較的高いレベルに達し、中国ドラマのスペシャル方式が正式に始まることに期待している。
しかしながら、当該の番外編はiqiyiサイトでの独占配信のため、視聴者は視聴費を支払わなければならなず、日本ドラマのスペシャルがテレビで放送される点とはやはり違いがある。現状の中国ドラマを見渡してみると、スペシャル方式を採用するには2つの条件をクリアする必要がある。一つは視聴者やファンのドラマシリーズや役に対する熱度、もう一つは作者と制作側との協力が必要である。 南派三叔が自ら「老九門」番外編を制作し、iqiyi側がそれを受け入れ、さらに若い主演の人気が加わり、やっと「老九門」スペシャルが始まるに至る要因となった。
インタビュー中、 白一驄は「老九門」IPの将来的な計画の狙いも紹介してくれた。今後ネットドラマ「老九門」は3シーズン撮影される予定だ。来年は映画が始動する可能性もある。陳偉霆、張芸興、趙麗穎等主演は間違いなく、それぞれの役を続投する予定だ。 陳偉霆と張芸興の2人の主演のファンがアイドルのために順位を争った事に対して白一驄は、実際の俳優間の関係性は良好だが、制作側はファンの意向を尊重し、極力バランスをとると述べた。
続いて、 白一驄には「爵迹」ドラマ版の計画もある。原作者・映画版監督の郭敬明はおそらく理念の不一致を理由に参加しない。 白一驄は 「爵迹」ドラマ版は映画版の表現方法を覆す、「質感への道」を歩むそうだ。同時にスペシャル番外編放送の可能性もある。
※インタビューは訳者判断で抜粋しております。
鳳凰：「老九門」番外編の撮影はネットドラマ制作時に決まっていたのですか？
白一驄：実際、撮影中の時から考えはありました。 南派は原作の中で多くの人物の単独の作品を書いていましたし、私も面白いと思っていました。撮影中、私はiqiyiの楊総裁に提案をすると彼はすぐに支持すると言ってくれました。元々はドラマに続いて撮影したかったのですが、本編の進行が切迫していたので、後から本編がない時期に撮影する事にしました。それから我々は時間を調整し、脚本を待って、7月末から8月初旬に正式に番外編を撮影する事にしたのです。
鳳凰：二月紅の他にも、陳皮阿四、 解九爺、 霍三娘の番外編が撮影されますが、どう選んだのですか？
白一驄：今シーズン内の重要人物は佛爺、二爺、 阿四、八爺、九爺、三娘です。我々は陳偉霆にも張大佛爺の番外編撮影のオファーを出し、彼も受ける意向を持っていましたが、スケジュールが合わず、時間が取れませんでした。二爺の方は時間が取れ、他の何名かの若い俳優も時間が調整できそうだったし、本編でも彼等の人気は良いものでした。
鳳凰：番外編はどれくらいの長さですか？
白一驄：決まっていません、もしかしたら90分くらいかもしれないし、100分かもしれない、7、80分かもしれません。
鳳凰：やはり映画くらいの長さなのですね？
白一驄：そうですね、だいたい映画1本分くらいの長さで、日本ドラマのスペシャルに近い考えです。私は個人的にスペシャルは素晴らしいものと考えているので、作品に影響力がある時、皆さんが劇場に特別編を見に行く、というにはとても良いことだと思います。ずっとスペシャルにチャレンジしてみたいと思ってきたので、今回楊総裁が我々を支持してくれたことはとても重要な事です。
鳳凰：番外編一本あたりの投資額はいくらですか？
白一驄：4部作全体での投資額は低くありません、具体的には言えません。
鳳凰：普通の映画と比べるとどうでしょうか？
白一驄：映画はプロモーションのコストもあります。プロモーションはなしに、純粋に制作費の事なら、映画とは差があるかもしれません。しかし低コストの映画のレベルではありません。
鳳凰：中国ドラマの現状の条件の下で、いつ真のスペシャルのモデルが実現すると思いますか？
白一驄：今回の「老九門」番外編の放送が良い放送量に達したならば、このモデルを切り開く事ができると思います。今後もこのような内容が多く出現する事になるでしょう。似たようななモデルは実は昨年iqiyiで「花千骨」番外編を作っていました。当時作る前からあまり面白くなく自分でもそう思っていました。しかし、放送してみたらまぁまぁの結果になるとは思ってもいませんでした。もし放送時に合理的かつ推進力が大きければ、より良い結果になっていたかもしれません。
鳳凰：番外編撮影終了後は第2シーズンを撮影するという事ですか？
白一驄：第2シーズンの準備を始めています、第2シーズンは来年制作します。
鳳凰：主演は変わりますか？
白一驄：変わりません。
鳳凰：2人の人気アイドルが「老九門」に参加し、彼等のファンも勢いが強く、主演の順序に対して、そしてプロモーション戦略上でも、彼等は自分たちの考え方を持っており、政策側にも影響や妨害があったのではないですか？
白一驄：実際、俳優たちの関係はとても良かったんです。一番最初に決まったのが陳偉霆で、張芸興も陳偉霆が当時力強く推薦したんです。彼は「芸興にオファーしよう」と言ったんです。 趙麗穎も 陳偉霆のアドバイスでした。なので、我々は当時冗談で、字幕には「俳優副監督」は 陳偉霆だと入れるべきだと言っていました。彼等のプライベートでの関係はとても良いです。「老九門」の記録動画の中で、皆さん現場が楽しそうなのは見て取れると思います。
しかしファンには独特な点があって、いくつかの事情について俳優本人より気にすることがあります。初めの我々の策略は双方のタレントを相対するものとして前面に出すというものでしたが、ファンは反発しました。確かにファンは比較的若く、熱狂的で、自分たちのアイドルが好きすぎるのは、我々も理解しますし受け入れます。我々は思いつく様々な方法でバランスを取りました。我々は俳優を尊重すると同時に彼等のファンも尊重しなれければなりません。制作側にとっては当たり前の事ですが、今後ドラマを作るときは皆さんその精力をドラマに当ててほしいと思います。順番は重要ではありません、本当に重要ではありません。
鳳凰：ネットドラマ「盗墓筆記」も第1シーズンが撮影されましたが、今後計画はありますか？
白一驄：「盗墓筆記」は第2シーズンがあります、脚本はまだ現在制作中ですが、いつ撮影するか我々にも分かりません。
鳳凰：今後もほかのIP作品からスペシャルを作りますか？
白一驄：あります、我々とiqiyiの共同制作「爵迹」のドラマ版が今年の年末に撮影が始まります。
鳳凰： 郭敬明は参加しますか？
白一驄：分かりません。版権について最初に話したのは私ではありません。我々はこのドラマを作ることになりましたが、私個人としては原作者が参加し進行してくれればと思っています。しかし皆さん理念上で違いがあるでしょうから。私は映画版「爵迹」の設定を見ましたが、我々が作るのであれば、ああいった路線にはしたくありません。
※インタビューは訳者判断で抜粋しております。
