盗墓筆記シリーズと言えば、言わずと知れた中国の人気IPのひとつ。南派三叔のネット小説を原作に、アニメ、ドラマ、映画などさまざまなメディアミックス展開がされています。本編の「盗墓筆記」だけでなく、スピンオフでも「老九門」「沙海」「重啟」など多くの作品があります。映像化されれば人気俳優が出演し、さまざまな俳優たちが、個性豊かなキャラクターを演じてきました。
本作は、2020年に配信された「重啟」のWeb映画とのことで、タイトルロゴも同じものが使用されています。「重啟」でも大活躍だったサングラスの黒瞎子を主人公に、遺跡での冒険が描かれています。
盗墓筆記シリーズでよくあるのが、「今回はこのキャラクター誰が演じるの?」という疑問。シリーズも多岐に渡っているので、映像化されるたびに「今度は誰?」と思うのも、もはや楽しみのひとつですね。(このあたりは原作者南派三叔の意向が強く反映されているという話もありつつ…)ちなみに「盗墓筆記」の主人公・呉邪をこれまで演じてきた俳優としては、李易峰、鹿晗、秦昊、朱一龍、曾舜晞などがいます。
それでは本作の黒瞎子は誰が演じたのでしょうか?ドラマ「重啟」で黒瞎子を演じたのは、台湾出身の陳楚河でした。「重啟」シリーズのようだし、陳楚河が続投かと思いきや、本作の黒瞎子は、「沙海」で黒瞎子を演じた季晨でした。
個人的には「沙海」が非常に好きでして、季晨の黒眼鏡もとても印象的でよかったので、嬉しい配役です。「沙海」でも歌っていた「青椒炒飯歌」も出てきてニンマリ。季晨、かっこいいですよね~。特徴的な話し方と声も癖になります。そういえば、陳楚河黒眼鏡はサングラスを外した素顔が劇中でも出てましたけど、季晨黒眼鏡は劇中でサングラス外しても顔は映らないように演出されているんですよね〜。
作品としてはいつもの盗墓なので、相変わらず変な虫やら植物やらがオンパレードです。おなじみの蛇柏が大活躍!
目次
作品情報
原題:重啟之蛇骨佛蜕
監督:藍志偉
出演:季晨、彭高唱
上映時間:88分
中国公開日:2021年3月26日(優酷独占配信)
あらすじ
黒瞎子が、カンボジアの密林にある遺跡で消息を絶ったかつての旧友・顧懐盛を助けるべく、その娘・顧子卿、顧懐盛を遺跡に派遣したと日本の研究所沖田島(中文名:黄歇)らとともに、遺跡へと向かう。
主な登場人物
黒瞎子(季晨)
飄々とした謎の人物。常にサングラスをしていて、暗ければ暗いほど良く見えるという特殊な眼を持っている。戦闘能力も高く、遺跡に対する知識も豊富。
顧子卿(彭高唱)
黒瞎子の旧友・顧懐盛の娘。遺跡で消息を絶った父親を探すため、黒瞎子を訪ねてくる。
ネタバレ
※【請注意】以下、ネタバレがあります。
カンボジアの密林の中、とある外国人部隊が発掘していた遺跡を日本軍が狙っていた。しかし、降りしきる雨の中、外国人部隊は悲鳴とともに姿を消す。日本軍の部隊が遺跡に入ると小さな仏塔を見つける。しかし、部隊は遺跡を覆ううごめく樹木に襲われるのだった。
時は流れ現代、黒瞎子のもとにかつての旧友・顧懐盛の娘だという顧子卿が訪ねてくる。顧懐盛は、カンボジアの密林にある遺跡で消息を絶っており、自身に何かあった時の緊急連絡人として黒瞎子の名を伝えていたのだった。顧子卿は、顧懐盛を遺跡に派遣した日本人を連れていた。黒瞎子は大金を提示され遺跡への同行を決めるのだった。
日本の研究所のボス沖田島(中文名:黄歇、以下、黄老板)によると、遺跡はアンコール朝時代、7世紀末から8世紀始めのもので、建造途中で放棄されたものだという。黄老板は、遺跡の中にある仏塔を探すために顧懐盛らを遺跡に派遣し、その先行部隊はすでに仏塔を発見していたこと、そして自身が癌に侵され余命半年もないことを明かす。
黄歇が雇った傭兵たちとともに遺跡に向かう黒瞎子。大雨で先行部隊らが通った道は沼になっていたため、一行は遠回りすることになり、村だったと思しき場所で夜を明かす。黒瞎子は、やけに密林の様子に詳しい黄老板を怪しんでおり、黄老板だけが知る情報があるはずと睨む。一方、黄老板は薬がついに最後のひとつとなり、新しい材料が見つけられなければもう打つ手がないという状況になっていた。
遺跡にたどり着いた一行は中へと入っていく。雑草が生い茂る内部、壁には大蛇が人を食べるという食物連鎖の壁画があり、欠損している部分から察するに、蛇を食べる謎の何かが存在するようだった。その付近には先行部隊のメンバーの遺体が横たわっていたが、不可解なことに高いところから落下死したようだった。先に進んだところで、一行は巨大な蛇に襲われるが、黒瞎子が蛇を仕留める。さらに遺跡の奥へと進んでいくと、沼にたどり着く。水中に何かの気配を感じる中、医者として黄老板に同行している男が何かに引きずり込まれ姿を消してしまう。さらにもう一人水中に引きずり込まれ、一行は沼から逃げる。
先を進む一行だったが、黒瞎子を敵対視していた傭兵が岩の隙間に引きずり込まれ姿を消す。その代わりに、姿を消していた医者が大怪我を負った状態で姿を表した。黒瞎子は先程倒した蛇の肉塊で見えない敵をおびき出そうとする。それは、暴風雨のあとに現れるという樹木の影に潜む手(蛇柏)と呼ばれるものだった。黒瞎子は撤退を進言するが、黄老板は仏塔を見つけるまでは撤退はないと断固拒否、彼の目的は顧懐盛を救出することではなかったのだった。
崖にたどり着いた一行、顧懐盛のGPSの信号が強くなり、彼が下にいるであろうことが推測された。黒瞎子らが崖の下に降りると、そこにはかつて遺跡に入った日本軍と思しき無数の白骨遺体と、顧懐盛のGPSと仏塔があった。そしてまたしても蛇柏に襲われ、傭兵が次々と姿を消していく。黒瞎子は白骨遺体の荷物の中から見つけた写真から、黄老板がかつて遺跡に入った日本軍の息子であること、彼の病が癌ではないことを突き詰める。黄老板は病は父親の研究と関係があり、仏塔の成分にはあらゆる病を治す可能性があるため、撤退はできないという。傭兵らも仲間を助けるため、顧子卿も父親を助けるため、危険な崖の下を進むことにするが、黒瞎子と顧子卿は蛇柏に捕まり、消化器官に引きずり込まれてしまう。その危機を救ったのは顧懐盛だった。顧懐盛によると、仏塔を持っていこうとすると、蛇柏の胞子が急速に成長してしまい、密林中が蛇柏だらけになってしまうため、動かすことはできないのだという。
一方、仏塔を見つけた黄老板は傭兵たちや医者を犠牲にして仏塔を手に取る。黒瞎子が遺跡から脱出しようとするが、顧親子が蛇柏に捕まってしまったのを助け、蛇柏の最深部に引きずり込まれる。最深部に爆弾を仕掛けた黒瞎子は、遺跡からの脱出を図る。一方、顧懐盛は娘を逃すため蛇柏の犠牲となる。黄老板も脱出を試みたが、顧懐盛の身体を乗っ取った蛇柏に殺されたのだった。黒瞎子と顧子卿は、なんとか遺跡から脱出したのだった。