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虚構と現実がリンクする…雷佳音主演映画「刺殺小説家」【あらすじ】【ネタバレ】

今回ご紹介するのは、2021年2月12日に公開された春節映画「刺殺小説家」です。双雪涛の短編小説集「飛行家」に収録されている同名短編小説が原作となっています。

現実世界と小説世界の二つが舞台になっていて、それぞれ物語が進んでいきます。小説世界の方は、古代中国とロード・オブ・ザ・リングを足して5で割ったような世界観です。

年間通して最も人気映画が集まる春節映画ということで、かなり気合が入った作品のようでした。清純なイメージの楊冪が喫煙しているカットが公開された時も結構話題になっていましたね。

この手の中国映画はかかる予算もスケールも年々大きくなっていっていますが、本作でも、小説の異世界のCC描写はハリウッド映画を越えているのではないかと思うほど精巧に描かれています。

現実世界と小説世界がリンクしながら物語が進んでいき、現実に影響を及ぼす小説の執筆を阻止するために、その著者である小説家を殺す任務を主人公が請け負うというのが物語の大筋です。物語が進むにつれて、登場人物たちの隠れた人間関係が見えてくるのですが、なぜ小説が現実に影響したのかというのが今ひとつ謎のまま。もっと現実と小説がリンクして大変なことに!みたいな展開が欲しかったなというのが正直な感想です。小説に殺されそうになっている大企業トップも、今ひとつ中途半端な悪役ぶりで何とも…それに主人公の謎の投石能力もなんで???という感じ。

個人的には雷佳音と董子健は好きなので、2人が活躍してくれるのは嬉しいですが、映画としては微妙かな…あと、冒頭少しだけ登場した佟麗婭はとても美しかった。郭京飛はほぼ声優出演ですね(笑)。目ん玉妖怪みたいになってしまうのですけど、仲間と言われてウルウルしちゃう目ん玉にはちょっとほっこりしてしました。

美しの佟麗婭

ゴリゴリCGのハリウッド映画とか、異世界系とかお好きな方は観てみてみるとよいかもしれません。
(なんだかあまりおすすめしていないみたいだ…)

作品情報

原題:刺殺小説家
英題:A Writer’s Odyssey
監督:路陽
脚本:陳舒、禹揚、秦海燕、路陽
出演:雷佳音、董子健、楊冪、于和偉、郭京飛ほか
上映時間:130分
中国公開日:2021年2月12日

あらすじ

失踪した娘を探す父親・関寧は、謎の美女・屠霊から娘の居場所を交換条件に、路空文という小説家を殺すという任務を引き受ける。一方、小説で描かれる異世界の皇都では、天神赤髪鬼が殺戮を行っていた。少年空文は、黒甲とともに紙殺しの道を歩むことに。驚くべきことに、路空文の描いた小説世界が現実世界に影響を与えているのだった…

登場人物

関寧(雷佳音)

誘拐され行方不明となった娘を探し続ける父親。人間離れした投石能力を持っており、凄まじい攻撃力と的中能力がある。

屠霊(楊冪)

アラジングループのCIO。関寧に小説家殺害を命じる。

路空文(董子健)

なぜか李沐に実害を及ぼす小説「弑神」の作者。

李沐(于和偉)

アラジングループのCEO。路空文の小説が自身の身体に影響を与えているため、路空文を殺害しようと目論む。

ネタバレ

※【請注意】以下、詳細なネタバレがあります。
※現実パートと異世界パート行き来しながら記載しています。

【現実世界】

行方不明の娘小橘子を探し続ける父親の関寧は、人身売買業者と間違われ逮捕される。連行されている途中に、謎の美女が関寧を助けた。

【異世界】

少年空文は、迫りくる追手から逃げるべく森を駆け抜けていた。しかし辿り着いた先は断崖絶壁。絶体絶命の空文の前に姉が現れ、崖から空文を突き落とし助ける。空文が落ちた崖を這い上がるが、目の前で姉は黒甲に殺されてしまう。黒甲によると、赤髪鬼の命令で姉弟の命を狙ったのだという。赤髪鬼への復讐を誓う空文に、黒甲は鎧となって取り憑き、空文は皇都へと向かう。

【現実世界】

関寧を助けた女性は大企業アラジングループのCIO屠霊。屠霊は、関寧の娘の居場所を教えることと引き換えに小説家の路空文の殺害するという取引を持ち掛ける。関寧は石を自在に操れるという特殊能力を持っており、更には路空文がネットで音読動画を配信している小説「弑神」の世界と同じ夢を見ているのだった。屠霊によると、アラジングループのトップ李沐は小説の登場人物である赤髪鬼とリンクしております、赤髪鬼が負傷したりするとそのダメージが李沐に及んでいるのだと言う。路空文は3日以内に小説を書き上げる予定で、このまま物語が進むと赤髪鬼は死ぬ結末を迎えるため、路空文を殺すことにしたのだった。

路空文を殺害しに向かった関寧は、路空文に尾行がバレて、とっさにファンだと答える。新しいキャラクターを考えたという路空文の言葉が気になった関寧。しかし、アラジングループに監視されていることに気付いた関寧は、その場から離れた際に毎日見ている夢をメモした手帳を路空文に拾われてしまう。

【異世界】

姉を殺した黒甲に取り憑かれた少年空文は、赤髪鬼が支配する皇都に辿り着く。祭りのような賑わいの中、赤髪鬼の兵たちが対面に位置する白翰坊に攻め込む。圧倒的な戦力差で白翰の者たちは次々と殺され陥落する。翌日焼き払われた白翰に入った空文は、赤髪鬼の旗を持った赤い鎧の騎兵を見かける。

壊滅させられた街を歩いていると、空文は生き残りの少女と出逢う。そこに騎兵が現れ、2人は必死に逃げる。追い詰められ殺されかける空文だったが、少女のおかけで九死に一生を得る。そして、日没を迎え騎兵は動かなくなった。

【現実世界】

関寧は路空文を殺すべく投石で彼の頭を撃つ。とどめを刺そうとしたところに、娘の小橘子と一緒に歌っていた歌が聞こえてくる。関寧は、歌を歌っていた少年を見つけるが、逃げられてしまう。少年を追っていった先で、小橘子の誘拐した于昌海と遭遇。追い詰められた于昌海は、麻袋に入れて動かなくなってしまった小橘子を置き去りにしたと自白する。激怒した関寧は于昌海を殺しかけるが、その場に屠霊が現れ、その場を収める。屠霊は、関寧に同情し始めたのか、李沐に死んだ娘を利用したのかと迫るが、李沐は「関寧でならなければならない」とその場を立ち去る。

翌日、路空文と会うことにした関寧は、赤い鎧の騎兵が関寧、そして少女が小橘子であるということを路空文から聞かされ、自分自身も小説とリンクしていることを知り驚愕する。関寧は、小説の世界を変えるように路空文に提案する。

【異世界】

金目のものを狙った賊に追い詰められた空文と小橘子。小橘子を守ろうと決意する空文だったが、空文の鎧となっていた黒甲は空文の身体から離れ、賊を壊滅させる。黒甲は生き残ってしまった賊の少年を殺そうとするが、空文が止める。黒甲は空文の言うことに逆らえないのだった。赤髪鬼を倒すため、2人は宮殿山へと向かう。

【現実世界】

関寧は、小説世界の中の小橘子を守るため、屠霊らを裏切り路空文に小説を書かせることを決意する。関寧は路空文の部屋で、路空文の父親と李沐がかつて一緒に企業した友人で、とある事故で路の父親が亡くなったことを知る。その会話を聞いた屠霊は、李沐に任務から降りると伝えるが、直後アラジングループに拉致される。

危険を察知した関寧は、路空文を連れて図書館に身を隠す。そこにアラジンの追手が迫る。駆け付けた屠霊の助けもあり、2人は追手をなんとか退ける。

【異世界】

宮殿山に入った路空文と黒甲、小橘子の3人は、進んでいった先でついに巨大な赤髪鬼と対峙する。空文は、かつて赤髪鬼が袂を分かった盟友久天の息子であることが告げられる。
赤髪鬼との決戦に臨む空文と黒甲は、巨大な赤髪鬼に太刀打ちできずにいた。空文をかばった黒甲は、赤髪鬼に粉々にされてしまう。助けを求める笛を吹いて助けを求めた小橘子は、赤髪鬼に飲み込まれてしまう。

【現実世界】

小橘子が赤髪鬼に飲み込まれたところで、路空文は襲撃され病院に搬送される。その場に、李沐が現れる。関寧は路空文の代わりに小説を書き上げることを決意する。

【異世界】

どうすることもできない空文の前に現れたのは、あの赤い鎧の騎兵・関寧だった。ガトリング砲をぶっ放し優勢に見えたが、巨大な体躯の赤髪鬼に押されてしまう。しかし、2人は赤髪鬼の額に刺さっている久天の剣で赤髪鬼を倒すことに成功、小橘子を取り戻すことに成功する。

【現実世界】

結末を書き終えた関寧。路空文も命の危険から脱した。そして突然、病院の外へと向かう関寧、その先にはあの歌を歌っていた少年と一緒に少女がいた。

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