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掃黒除悪が題材の映画「掃黒・決戦」【あらすじ】【ネタバレ】

「掃黒・決戦」は、愛奇芸と長安出版による犯罪映画です。タイトルになっている「掃黒」というのは、反社会勢力の一掃を意味します。「掃黒除悪」、黒を掃き悪を除く、というスローガンで、重要な政策として推進されています。そういったプロパガンダ的意味も含んだ、いわゆる主旋律映画なわけです。映画の最後には、掃黒除悪が叫ばれるようになってからの3年の成果がそれとなくアピールされてます。

51档と呼ばれる5月1日メーデー合わせ、張芸謀監督の「懸崖之上」や許光漢の「你的婚礼」といった注目作と同じタイミングの公開でした。今年の51映画は前述の2作が特に好調といった様子でしたね。

本作の監督を務めたのは俳優としても活躍している呂聿来。最近の作品ですと、「失踪人口」「摩天大楼」あたりでしょうか。2017年あたりから、本格的に監督としても活動していたんですね。全然知らなかった。

主演は姜武。言わずと知れたベテラン俳優ですよね。ですが、私の推しは張頌文。最近だと「隠密的角落」のお父さんですね。今回も、一見善良そうなだけど裏は真っ黒なキャラクターがとてもハマっていると思います。それと焦剛!この人の醸し出す怪しさって何なんでしょうか。前に視聴した「非常目撃」の印象も強かったのですが、「こいつ何かやらかしそう、裏切りそう」と思ってしまうのですよね。本作でも裏切ってくれました。今別で観ている「叛逆者」にも出演しているのですが、こちらでもやばいやつです。

悪いやつがたくさん出てきますが、最後にはちゃんと成敗されていく正義の映画に仕上がっています。官と反社会勢力との癒着問題を題材とした犯罪映画として楽しめると思うので、この手のジャンルが好きな方はぜひどうぞ。

作品情報

原題:掃黒・決戦
英題:Break Through the Darkness
監督:呂聿来
脚本:樊菁、蔣麗華、李佳穎、岳小軍
出演:姜武、張頌文、金世佳、李倩
上映時間:112分
中国公開日:2021年5月1日

あらすじ

魏河県趙家村、用地収容を進める中で村民が死亡する事件が発生し、多数の通報が来ていた。事態を重く見た政府は、宋一鋭率いる調査チームを派遣する。

主な登場人物

宋一鋭(姜武)

掃黒除悪を実施すべく魏河に派遣された調査チームのリーダー。正義感あふれる人物。

曹志遠(張頌文)

魏河県県長。調査にも協力的で、一見善良な政治家に見えるが…

孫志彪(金世佳)

暴力と薬物にまみれた反社会的人物。高利貸しをしており、その取り立ては残虐非道。

ネタバレ

魏河県趙家村、とうもろこし畑の立ち退きに最後まで反対していた羅大叔が、ガソリンをかぶり決死の抗議をしようとしていた。村を仕切っている趙親子はガソリンを畑にぶちまけ火を放つ。そしてガソリンをかぶっていた羅大叔を突き飛ばし焼死させる。しかしながら、その事件は事故として処理されてしまい、羅大叔の息子・羅自立は、趙親子の息子・趙勇への暴行罪で拘束される。

羅自立が送っていた告発書を重く見た党中央は、反社会勢力を一掃するため(掃黒除悪)、宋一鋭をリーダーとする調査チームを派遣し、趙家村の事件の再捜査を開始する。魏河県長・曹志遠も、趙家村の事件を解決するまでは一切の開発事業を停止すると発表する。

趙天禄と趙勇を調べていくと、1年前の開発計画では趙家村は対象でなかったことが発覚する。宋一鋭らは、趙勇の常軌を逸した取り立ての証拠を並べて落とし、趙天禄に証言を迫る。趙天禄は、用地開発に関わっていた斉飛宇局長が賄賂500万元を要求してきたと言う。斉飛宇は姿を消した後、宋一鋭らの目の前で転落死する。オフィスの天井裏からは500万元が見つかった。

孫志彪が経営する宏遠集団から金を借りていた開発工事担当業者の劉立軍は、金を返せないために手ひどい拷問を受け拘束されていたところを命からがら逃げ出す。実は高利貸しだった孫志彪を紹介してきた濱河集団の林巧兒に助けを求めるがあしらわれてしまう。そして、劉立軍の工事現場から宏遠娯楽城で働いていた楊蕊という女性の遺体が発見される。劉立軍は、楊蕊と孫志彪が一緒にいたところを目撃したと証言する。宋一鋭は娯楽城に乗り込むが、事件を大事にしたくない警察の魏局長は乗り気でない。結局何も見つからなかったが、楊蕊と同室だった杜鵑という女性から、孫志彪が娯楽城の女性たちを薬物漬けにして売春させていること、薬物を拒否して2人が逃げ出した際、楊蕊を車で轢き殺したという証言を得る。警察は依然協力的でないが、孫志彪に逮捕状が出る。

調査が進展せず開発事業がストップしているため、民衆が宋一鋭らを取囲み、暴徒化してしまう。駆けつけた曹志遠の命令によりその場は収まるが、調査チームには一度手を引くように命令が下る。そして、孫志彪も釈放されてしまうのだった。

党中央も民衆の暴徒化は何者かの罠であったと見ていた。そんな中、孫志彪と曹志遠が異母兄弟で、2人の父親は元江州市委書記の曹順華であることが分かる。ついに曹順華らに本格的な汚職問題調査のメスが入れることになる。

妻とともに隠れていた劉立軍のもとに、孫志彪の手下が襲撃にくる。必死に逃げる2人だったが、妻はもみ合いの末に転落死してしまう。

一方、曹志遠は愛人である濱河集団の林巧兒と床を共にしていた。曹志遠は、転落死した斉飛宇の息子が孫志彪から多額の借金をしており、その借金をチャラにする代わりに斉飛宇に自殺するように教唆し、500万元を彼のオフィスに隠していた。警察の魏局長とも通じていた。更には、林巧兒を使って民衆の暴動を起こさせたのも曹志遠だった。

劉立軍は林巧兒を拉致し、その動画をネットにアップする。魏河県の汚職も告発するその動画は瞬く間に拡散され、曹志遠や宋一鋭ら調査チームも現場へ急行する。金と孫志彪の逮捕を要求する劉立軍に対し、曹志遠は自身と孫志彪の関係が明るみに出ることをおそれ、射殺するように命じる。間一髪のところで宋一鋭が臨場し、劉立軍の説得に当たる。しかし、曹志遠の合図を受けた孫志彪が狙撃を行う。劉立軍に弾は当たらず、宋一鋭は重要参考人として劉立軍の身柄を確保する。

林巧兒は自身が襲われ身の危険を感じ自首する。宋一鋭は、孫志彪の隠れ家に向かい、激しい乱闘の末、孫志彪の制圧に成功した。そして、曹志遠も逮捕され、魏河県の汚職に関わった者は一網打尽にされたのであった。

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