7月20日から騰訊視頻(テンセント・ビデオ)にて配信がスタートしたドラマ「沙海」。本作は、南派三叔(本名:徐磊)の中国の人気IP作品「盗墓筆記」シリーズのアフターストーリーと位置付けられている。
「盗墓筆記」シリーズと言えば、2015年に愛奇芸でドラマ化され、李易峰、楊洋といった人気若手俳優が出演し話題となった。その後、2016年には鹿晗、井柏然主演で映画化された。「盗墓筆記」は、主人公の呉邪を中心とした冒険奇譚となっているが、呉邪は長沙の”老九門”の内、呉家の子孫であることが判明する。”老九門”全盛期の世代は民国末期であり、その頃の老九門の面々の活躍を描いた「老九門」も、2016年に愛奇芸でドラマ化され人気を博した。「老九門」には、陳偉霆(ウィリアム・チャン)、張芸興(EXO LAY)、趙麗穎ら豪華俳優が出演した。また、人気キャラクターを演じた新人俳優の胡耘豪、張銘恩も一躍人気俳優の仲間入りを果たした。各映像作品において、あまり同じ俳優が起用されない本シリーズであるが、「老九門」二月紅役の張芸興は解臣雨役、張銘恩は「老九門」と同役の張副官こと張日山役で特別出演を果たしている。
「盗墓筆記」シリーズは、実に4世代にも渡る長いストーリーが展開されている。登場人物も非常に多く、相関関係も複雑だ。しかしながら、どのキャラクターも魅力的で、彼らが織りなすストーリーに惹きつけられる。では、現在騰訊視頻(有料会員)にて配信されている10話分までを、主人公・黎簇を中心に振り返ってみる。
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大学受験に失敗し留年が決まった普通の高校生・黎簇(呉磊)は、幼馴染の沈琼から謎の箱を渡され、その箱を開けてしまう。黎簇は、その箱を探す謎の男・黄厳に襲われ、背中に謎の模様を彫られ、彼はそのまま自殺してしまう。病院に搬送され治療を受けたものの、主治医の梁湾とともに王盟(朱杰)に拉致されてしまう。目覚めるとそこには呉邪(秦昊)がいた。呉邪は黎簇に砂漠の古潼京へと一緒に来るように告げたのだった。
現地人の馬日拉の協力を得た呉邪は、出資者の馬茂年とその手下の蘇難らと共に砂漠へ向かう。その途中で、ドキュメンタリー撮影チームの王導らも合流し、一行は古潼京らしき遺跡にたどり着く。遺跡に入るも、何人もの仲間が命を落としてしまい、命からがら脱出する。目的の宝石を諦められない馬茂年は、一行に再び遺跡へ潜入するように強いるが、遺跡内部は西宮と東宮が対象的に配置されており、一度目に入ったのとは別の遺跡に迷い込んでいた。一行はまたもや命からがら脱出するが、呉邪と馬茂年が取り残され、彼らを救出するために蘇難はダイナマイトで遺跡を破壊する。2人は脱出できたものの、爆発の影響で流砂が発生し、一行はほぼ全ての食料と資材を失い、砂漠を彷徨うことなってしまう。水も食料も底をつき、砂嵐に襲われ、案内役の馬日拉も失った一行は、ついに力尽きてしまう。黎簇が目を覚ますと、そこは部屋の中だった。現地人嘎露に救われた一行は、その母・蘇日格の店の世話になることとなったのだが、呉邪は店は怪しい、蘇日格を警戒していると怪しまれないようにしろと黎簇に告げる。その夜、黎簇は偶然、蘇日格の背中の入れ墨を目撃してしまう。
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「沙海」は、もちろん単体で観ても十分面白いと思うが、「老九門」「盗墓筆記」の流れと登場人物を理解するとより楽しむことができる。それが、このシリーズが変わらぬ人気を保ち続ける理由の一つだろう。「沙海」では、若かりし頃からは想像できない立派な中年になった呉邪が中心人物として登場し、老九門の子孫たちも次々に登場する。
8月からは、配信日が木金土曜日の週3日2話ずつに増える。李晨演じる黒眼鏡、張芸興の解雨臣も近く登場し、真の古潼京のベールがはがされる。