異色の中国アニメ映画「大護法(邦題:DAHUFA 守護者と謎の豆人間)」【あらすじ】【ネタバレ】
2021年が7月に日本で劇場公開されることになった中国アニメ映画「大護法」。中国での公開は2017年と約4年越しで日本上陸となりました。このところ中国アニメ、すごくきていますよね。映画「羅小黒戦記」が異例の大ヒットを記録したり(みなさん円盤買いましたよね?)、地上派で「魔導祖師」が放送されたり、7月30日に公開になった「白蛇:縁起」は吹き替えでJタレさんが参加していたり…さすが中国、プロモーションにかけるカネの規模が全然違いますな!(だからちゃんと話題作りができる)と日々思うております。一応コンテンツ業界に身を置いているので、適切かつ効果的な宣伝は大いに参考にすべきですよね、なんていっちょ前に考えちゃったりするわけです。
そして本記事でご紹介する「大護法」、中国公開当時はまったくノーチェックでした…日本公開と聞いて「こんな作品があったのか!」と驚いたわけです。日本の各メディアでは「中国初の年齢制限付きアニメ映画」「異色のバイオレンスアニメ」と紹介されていて、一体どんなもんだろうとかなり期待大。早速愛奇芸で探して視聴しましたが、記事を寝かせておりました。
簡単な感想ですが、個人的には割と好きな作品です。これで年齢制限が付くのか~とは思いましたが、豆人間の頭が常に吹っ飛び続けるので中国では致し方なしかな。そして、たしかに「異色のバイオレンスアニメ」だとは思いましたが、そこだけがピックアップされるのは非常に惜しい作品です。全員同じ外見でしゃべりもせず暮らしている豆人間たち、豆人間を家畜のように扱う人間との関係性、そして徐々に自我や意思を持ち始める豆人間たちの様子は、抑圧され搾取される社会に対して一石を投じている感じですよね。暴力描写よりもその裏にある本質がもっと評価されるべき作品だな~と偉そうに思ったわけです。本当にそれが本質なのか私が勝手に言っているだけですが、描写・内容含めてとても挑戦的な作品であることは間違いないと思いました。
こういうと語弊があるとは思いますが、「日本昔ばなし」のような柔らかい絵柄と内容のシビアさが同居する作品です。このような作品がピックアップされて日本の劇場で公開されるのはありがたいことですね…そして最後はよくある匂わせエンドなのですが、続編があったりするのでしょうか。あれば是非観たいですね!
オススメ作品ですので、興味ある方はぜひとも鑑賞してみていただきたいです!
目次
作品情報
原題:大護法
邦題:DAHUFA 守護者と謎の豆人間
監督:不思凡
脚本:不思凡
声の出演:小連殺、図特哈蒙、金士杰、幽舞越山
上映時間:93分
中国公開日:2017年7月13日
日本公開日:2021年7月23日
あらすじ
奕衛国の大護法は行方不明になった太子を探して、巨大な黒い豆のような塊が浮かぶ花生鎮という村にやって来る。村には全員同じ豆のような外見の村人が暮らしており、彼らを執行者と呼ばれる豆人間が監視し統治を行っていた。大護法は、黒いキノコが生えた豆人間が処刑されていることを知り、村を統治する人間吉安の企みに巻き込まれ、命を狙われるようになる。
主な登場人物
大護法
奕衛国の大護法。数百年以来、国を守り続ける一族の生まれ。小柄で丸っとした外見で独り言ばかり言っているが、その身に秘められた力は本物。烏鋼杖を使って戦う。孤高の存在であり、小鳥のような不思議な生き物だけが彼の仲間。
※護法:簡単に言うと仏教の僧。
太子
奕衛国の太子。自身の身分を気に入っておらず、権力を嫌う好色の享楽主義者。自由を求めて応急から飛び出した。
小姜
自由な意思に目覚めていく豆人間。外の世界に憧れを抱いており、いつも城壁から外を見ている。右手首に太子からもらった赤い布を巻いている。太子のことを大事に思っている。同じく太子から授かった玉佩を落としたことをきっかけに大護法と出逢う。
隠婆
豆人間たちの真実を知り、抵抗のため下人として村に潜伏している。豆人間たちは隠婆の導きで、徐々に自身の秘密を知り覚醒していく。
吉安
豆人間の村を収める人間。金儲けのために豆人間たちの黒い石を集めている。豆人間たちのことを”家畜”のように扱っている。小鳴は吉安の孫。先祖代々同じような顔をしている。
庖卯
吉安に命じられ豆人間の遺体を解体し黒い石を回収している人間。豆人間たちのことを吉安と同じように家畜のように扱っており、むしろ仕事を与えてくれる吉安に感謝している。自分が何をしているのか理解しておらず、自分の理想だけを追い求めている。
羅単
吉安のもとにいる黒い三角帽で顔を隠した殺人者。大護法と対峙する。
ネタバレ
奕衛国の大護法は行方不明になった太子を探して、巨大な黒い豆のような塊が浮かぶ花生鎮にやって来る。村には豆のような外見の村人が暮らしているが、その見た目は全員同じで誰一人として言葉を発しない。大護法は同じ豆人間ながらも村人たちを監視している執行者が、豆人間を捕まえ処刑する場面を目撃する。執行者たちに太子の居場所を尋ねるも、攻撃を受けた大護法は執行者たちを返り討ちにした。
一方、村を支配している吉安の元にも執行者たちが何者かの殺されたということが伝えられる。吉安はその者を始末するように三角帽の羅単に命じる。
大護法は太子の玉佩を持っていた豆人間小姜を見つけ、太子と再会を果たす。その場には、人間んの少年小鳴もいた。国に帰りたくない、自由に生きたいと駄々をこねる太子に、大護法が「皇帝が女官たちの絵を書くことを認めた」と告げると、太子は手のひらを返して帰国に同意する。太子は山水画を描いているように見えたが、実はその絵は女性の裸体であった。村を出ようとした太子と大護法だったが、追ってきた執行者に襲われる。大護法が撃退した執行者たちの残骸を見ると、めや口は紙を貼り付けた偽物だった。すると、小鳴が泣きながら現れ、小姜が執行者たちに連れされたと言う。3人は小姜を助けるために洞窟に入っていくが、大護法と太子は洞窟深くに落とされ、離れ離れになってしまう。
大護法が洞窟を抜け出すと、そこには豆人間の遺体処理をする庖卯という男がいた。一撃必殺の斬撃修行をしているというが、その一方、吉安に命じられて豆人間の頭から黒石を取り出しているという。そして、豆人間のことを“豚”と言って嘲笑していた。大護法は庖卯に太子について聞くが、有益な情報は得られずその場を去る。
森の中で小鳴と合流した大護法は、捕えられている太子を助けに向かう。太子を助けるために武器である烏鋼杖を手放した大護法だったが、太子は連れ去られ烏鋼杖もそのまま奪われてしまう。その場に現れた三角帽の羅単が大護法に襲いかかってくる。洞窟の中を逃げ回るが、羅単に撃たれた大護法は奥底へと落下していく。
村に戻っていた小姜は、隠婆と再会する。隠婆は人間と接触していた小姜を嗜める。小姜にもキノコが生え始めていることを知り、隠婆は小姜に村と豆人間の真実を伝えることをに決める。隠婆は小姜を村に隠された洞窟に連れて行き、黒い塊の中に豆人間たちの“母親”がいること、洞窟で豆人間のたちが生産されていること、吉安が豆人間から黒石を集めていること、キノコは豆人間たちの成長の証であるということを明かす。その場に吉安が現れ、隠婆は小姜を逃して捕まってしまう。命からがら逃げ出した小姜は川辺にたどり着く。
大護法と小姜は川辺で再会し、小鳴が小姜が捕まったと嘘をついていたこと知る。村に戻った2人は、吉安がキノコが生えた豆人間を処刑する場を目撃する。その場に連れてこられたのは隠婆だった。大護法は隠婆を助け、吉安を追う。村の中を逃げる隠婆と小姜は執行者に追い詰められるが、彼らにもついに豆人間としての意思が芽生え始め、隠婆に協力するようになる。小姜は太子を助けると隠婆のもとを離れる。
小鳴に連れられた太子は、小鳴が吉安の孫であること、彼らが豆人間から黒蠱石を収穫している事実を告げられる。いずれ皇帝となる太子に黒蠱石は軍事的に有用であり、自分は黒蠱石を作り出し側近として仕えると告げる小鳴。太子は隙を見て、大護法の烏鋼杖を持って逃げ出す。
庖卯と吉安が処理場で話しているところに太子がやってくる。その場に現れた小姜と太子は再会するも、吉安は秘密を知ってしまった2人を殺すように庖卯に命じる。豆人間である小姜が言葉を話すのを見て庖卯は驚きを隠せずにいた。太子を守ろうとした小姜を庖卯は斬り捨てる。小姜を殺された太子は庖卯に襲いかかるが、歯が立たなかった。間一髪のところで現れた大護法は、烏鋼杖で庖卯の体を真っ二つにする。庖卯は理想だと言う一刀で心臓をとる技を自ら試し自害する。大護法は追ってきた羅単と対峙する。羅単は決戦に邪魔な吉安を殺すが、大護法の言葉に涙し、敗れる。
村は豆人間たちによって解放された。小姜の頭から出てきた碧い石を大事そうに見つめる太子は、外の世界を見せてやると小姜との約束を守ると言うのだった。