秦昊主演サスペンスドラマ「無証之罪」(Burning Ice<バーニング・アイス>)【あらすじ】【ネタバレ】
本記事でご紹介するのは「無証之罪」。2018年に愛奇芸で配信されたサスペンスドラマです。原作は、中国の人気ミステリ作家紫金陳の同名小説。中国東北地方の都市を舞台に起こる殺人事件に、刑事巌良が挑みます。
巌良という名前にビビッと来た方もいるかと思いますが、同著者の作品である「隠秘的角落」「沈黙的真相」にも登場するあの巌良です。本作で巌良を演じたのは秦昊。秦昊は、本当にこういうくせ者の役が似合いますよね。破天荒で独断専行、だけれども正義感を持った強い刑事を演じています。
2020年、愛奇芸では12話くらいのコンパクトなサスペンス作品を「迷霧劇場」という枠で配信し大きな話題作を産み出しましたが、「無証之罪」はその枠の先駆けとなる作品でした。本当であればこの記事自体、もっと前に書いておくべきものだったのですが、今更アップしてみました。
雪深い東北地方が舞台で、ひんやりとした暗鬱とした雰囲気が作品全体で漂っています。そして事件に巻き込まれる幸薄げな美女…そんな要素もありアジアンノワールとして高い評価を得ているわけです。
登場人物は危なげな人物ばかりなのですが、中でもピカイチにヤバいのは寧理演じるサイコキラー李豊田。もう本当にこの人、狂気の沙汰ですよ。あと李豊田とは別の意味でヤバい初恋に一途な郭羽。こういう男とは付き合ってはいけません。
この手の短編サスペンスでは毎回言っていますけれど、コンパクトで展開早いので中だるみすることなく楽しめると思います。ハマってしまったら、徹夜で観る羽目になりますが!
作品情報
原題:無証之罪
英題:Burning Ice
監督:呂行
脚本:馬儀八
出演:秦昊、鄭家佳、姚櫓,代旭,王真兒
話数:12話
中国配信日:2017年9年6日(愛奇芸独占配信)
あらすじ
ある雪の晩、雪だるまに括りつけられた遺体が発見され、そこには「私を捕まえてください」と書かれた紙が貼られていた。その手法は4年前に起きた”雪だるま”連続殺人事件と同じものだった。
刑事の林奇は、鋭い観察眼と洞察力を持つ刑事・巌良とともに事件捜査を始める。被害者は運送会社社長の孫紅運と判明する。妻・李華は取り調べを受けた際、孫紅運が死の直前に愛人の朱慧如と会う約束をしていたことを知り、弁護士の金輝と手を組み朱慧如を脅す。
金輝のもとで見習い弁護士として働いていた郭羽は、同級生で初恋の相手だった朱慧如と偶然再会し、彼女を李華の脅しから救うべく、街のチンピラ黄毛を仲介役として朱慧如に紹介する。李華と交渉の場を設けたという黄毛と単独で接触した朱慧如だったが、黄毛から暴行を受けそうになる。郭羽が駆けつけるが、はずみで黄毛をナイフで刺殺してしまう。そんな2人の前に謎の男が現れ、証拠隠滅を手伝うのだった。一方、警察は黄毛を孫紅運事件の目撃者として追っていたが、黄毛は川辺で変わり果てた姿で発見される。
主な登場人物
※【請注意】今回はあらすじが複雑なので、登場人物紹介でネタバレを詳細に記載します。
※ざっくり記載しているので、前後関係など微妙に間違っているかも…ご容赦ください。
巌良(秦昊)
刑事。鋭い洞察力で“神探”と呼ばれ数々の事件を解決していたが、とある事件がきっかけで派出所勤務となる。3年ぶりに発生した雪だるま連続殺人事件の捜査のため、昔の上司である趙局長に呼び戻され、林奇の捜査班に合流する。妻と離婚調停中で、チンピラと喧嘩をして派出所に連行された息子の東子を一時的に警察署で預かることになる。持ち前の“刑事の勘”で破天荒な捜査を行う。
雪だるまに括り付けられた遺体となって発見された孫紅運と、現場に残された痕跡から犯人像を的確に推理していく。孫紅運殺害の目撃者として名前が上がっていた黄毛が殺害された際、最後に会っていたという孫紅運の愛人朱慧如とその同級生で新人弁護士の郭羽が犯人であるということを見抜いていた。
朱慧如と郭羽に協力していた駱聞とは、法医と刑事として昔からの知り合いで、互いに信頼し合う仲だった。法医だった駱聞が事件に関わっているということにも早い段階から気付いていた。そして、病に侵された駱聞が雪だるま事件の犯人であると推理する。駱聞を罠にかけ、事件の犯人であることを暴く。
かつて優秀な刑事として活躍していたが、とある殺人事件で真犯人の高校生の少年をかばったことが駱聞により明らかにされ処分された。駱聞の妻子を殺害したすべての事件の元凶が李豊田であると突き止めるが、証拠がなく逮捕に至らなかった。一瞬スマホの画面に映った李豊田の顔写真を記憶してしまった息子の東子が、街中で李豊田に遭遇、証拠隠滅の現場を見てしまったがために殺害されてしまい、警察を離れる。
1年後、警察を離れた後も李豊田を見張り続け、自分自身へ殺意を向けさせることで、再び李豊田に犯罪を起こさせて逮捕することを考える。朱慧如と郭羽を工場で追い詰める現場に乱入し、2人を助ける。李豊田と一対一で対峙するも、自分自身が人質に取られてしまう。そこに現れた林奇に自分越しに李豊田を撃つように指示、李豊田は射殺される。物語の最後、林奇の計らいによって刑事に復帰する。
駱聞(姚櫓)
元法医で、巌良と強い信頼関係がある仲だった。朱慧如と郭羽が黄毛を殺害してしまった現場に居合わせ、証拠隠滅に協力する。実は、雪だるま事件の犯人。数年前、出張から帰ると妻子が行方不明になっていた。消息も知れず、遺体も見つからず、何の証拠もないため、警察は捜査を中断してしまう。単独で事件を調べる駱聞は、謎の指紋と煙草のフィルターを発見する。それらが妻子を殺害した真犯人のものだと考えた駱聞は、雪だるま事件を起こし、わざと謎の指紋などの痕跡を残すことで、真犯人を警察に探させようとしていたのだった。駱聞が雪だるま事件の犯人であると朱慧如が気付き、なぜ自分たちを助けたのかと聞かれた際、娘に似ていたからだと答えている。
駱聞が雪だるま事件の犯人だと確信した巌良の罠にはまり、連行されるが、病状が悪化し入院する。実は、厳良を派出所勤務に追いやった人物。とある殺人事件で、厳良はまだ若く将来がある高校生の息子を守るために、母親が犯人を犯人として逮捕した。真犯人が息子であると分かった駱聞は、真実を公表し厳良は処分される。そして、その息子は実は李豊田の息子で、犯人として逮捕された事で妻子は自殺してしまったのだった。その事をたまたま知った李豊田により駱聞の妻子は殺害され、証拠隠滅のために遺体は跡形もなく処分された。駱聞が探し求めていた真犯人が李豊田だと知った郭羽の策略で、病院を抜け出し李豊田と対峙。李豊田を殺害しようとするが失敗。李豊田は、駱聞を手にかけることなくその場を立ち去った。そのことが直接的な原因となり、駱聞の命は尽きた。
朱慧如(鄭家佳)
殺害された孫紅運の愛人。トラブルで片足に障害を負った兄の治療費のため、自分を犠牲にして孫紅運の愛人となっていた。孫紅運と最後に会っていたため、事件の重要参考人となっていたが、その事で孫紅運の妻李華から脅迫を受けることになる。新人弁護士となっていた同級生の郭羽と弁護士事務所で偶然再会する。郭羽の助けで、チンピラの黄毛を仲介に李華と交渉することになるが、黄毛の目的は朱慧如で、黄毛に暴行されそうになる。その場に駆け付けた郭羽が朱慧如を助けようとした拍子に、持っていたナイフで黄毛を殺害してしまう。そして、その現場に現れた駱聞の協力を得て、黄毛殺害の証拠を隠滅し、警察の取り調べを辛くもかわす。
自身を窮地から救ってくれた駱聞に信頼を寄せており、彼が妻子を殺した真犯人を見つけるために雪だるま事件を起こしたことを知っても、警察には通報しなかった。郭羽のことを嫌っている兄の朱福来に説得され、故郷に帰ることを決めるが、その直前兄は黄毛殺害の罪を被って突然自殺してしまう。独りになってしまった朱慧如は郭羽とともに街に残ることになる。
1年後、弁護士として成功する郭羽とともにマンション暮らしをしていた。巌良と再会したことで、兄の死に疑念を抱き、郭羽を疑うようになる。朱慧如は、郭羽不在の際に李豊田の殺人映像を発見してしまい全てを悟る。自分自身が李豊田に誘拐されたと芝居を打つことで郭羽の本性を暴くことに成功するが、その場に2人を殺すべく現れた李豊田に拉致され、自分だけ助かろうとした郭羽に殺されかける。巌良の乱入により九死に一生を得る。李豊田死亡後は警察に大人しく連行された。
郭羽(代旭)
新人弁護士の青年。金輝の弁護士事務所で働いているが、下っ端のため怒鳴られてばかりいる。同級生で初恋の相手である朱慧如と偶然事務所で再会し、李華に脅迫されている朱慧如を助けるべく、チンピラの黄毛を仲介役として朱慧如に紹介する。黄毛がセッティングしたという李華との交渉の夜、黄毛の目的が朱慧如だったことに気付き、彼女を助けに川辺に向かう。朱慧如に乱暴しようとしている黄毛の頭を背後から殴打するが、そのはずみで朱慧如が黄毛をナイフで刺し殺してしまう。その場に現れた駱聞により証拠隠滅を図り、警察の追及をなんとか逃れる。駱聞のことをプロの犯罪者だと考えあまり信用しておらず、朱慧如にはあまり近づかないようにと言っていた。先輩弁護士が自分の代わりに殺された際、李豊田の犯行現場を撮影していた。その証拠映像のおかげで、李豊田に殺害されそうになったところを間一髪で回避する。それからは李豊田と手を組むようになり、病状が悪化した駱聞に、李豊田と引き合わせる匿名電話をかけ、駱聞の死の直接的な原因を作る。
さらには、兄の朱福来とともに故郷へ帰ると言い出した朱慧如を引き留め、自分自身のそばに置いておくため、朱福来に朱慧如が黄毛を殺害したことを暴露、言葉巧みに彼女の罪を被って自殺するように朱福来を誘導した。
1年後、金輝亡き後の弁護士事務所を取り仕切る若手弁護士として活躍していた。巌良がいまだに事件を追っていることを知り、李豊田に巌良殺害を持ちかけるが、自身も李豊田に再び命を狙われるようになる。朱慧如を見捨てて逃亡しようとしていたところに李豊田が現れ、朱慧如とともに拉致され殺されそうになる。駆け付けた巌良が李豊田と対峙している隙に、朱慧如を欺き逃亡。しかし、最後は警察の検問にかかり逮捕される。結局は自分のことしか考えていない小さい男だった。
李豊田(寧理)
高利貸しの火が雇ったとんでもない犯罪者。張兵が担当していた金輝の取り立てを引継ぐ。煙草のフィルターを外すという特徴的な喫煙スタイルを持つ。金輝から郭羽と朱慧如の調査を依頼されたことで、2人が犯罪に関係していることに気付く。その後、金輝や火、を手にかける。郭羽の先輩弁護士邵海を殺害した際、その映像を郭羽に盗撮されていた。勤務先の火葬場で邵海の遺体を処分し、郭羽も一緒に葬り去ろうとした際、郭羽に証拠映像の存在を知らされ、郭羽と手を組むようになる。駱聞の妻子を殺した真犯人で、巌良がかばおうとした高校生は李豊田の息子だった。駱聞が事件の真相を暴いたために、李豊田の元妻と息子は死んでしまったため、駱聞にも同じを思いをさせるために妻子を殺害した。犯罪の証拠は徹底的に隠滅を図っており、遺体も遺さない。そのために指の指紋も自ら消しているが、その現場を目撃してしまった巌良の息子の東子を殺害した。
その1年間は、犯罪を犯さず工場勤務をしていた。しかし、巌良や朱慧如、郭羽を抹殺しようと、再び殺人を犯そうとする。朱慧如と郭羽を拉致し、工場で2人を追い詰め殺害しようとするも、巌良が乱入。巌良と対峙するも、その場に駆け付けた林奇によって射殺された。